若山牧水生誕140年記念特別企画 第75回牧水祭 開催しました

9月16日(火) 若山牧水生誕140年記念特別企画

【牧水ゆかりの地めぐり】

 午前中、市内外から約40名が参加し、市内各所の牧水ゆかりの地を巡りました。日高秀子を詠んだ細島御鉾ヶ浦、日向を「青の国」と詠んだ馬ヶ背の歌碑や、牧水が初めて海と出会った美々津を説明を聞きながら散策しました。牧水の旅姿に粉した「なりきり牧水」の方が参加しており、行く先々で記念撮影を求められていました。

 続いて牧水の故郷坪谷に移動し、牧水生家、若山牧水記念文学館を見学。今回特別に生家の座敷に上がった参加者から「天井が低いですね」「牧水の生まれた縁側は涼しい」などの感想がありました。また、生家裏山歌碑まで上られた方もいらっしゃいました。

 昼食は道の駅とうごうにて、地元産そばを使った十割そばセットを堪能しました。

 都合により、解説のみで終わったゆかりの地もありましたが、「ぜひ今度いってみたい」、「牧水の知らなかった一面に感動した」と仰る方もあり、牧水の魅力の広がりが感じられた1日でした。

 

  
   細島御鉾ヶ浦牧水歌碑にて         馬ヶ背牧水歌碑にて         「なりきり牧水」の方と一緒に

 

 
   牧水が生まれた縁側にて         若山牧水記念文学館を見学

 

【記念シンポジウム=若山牧水ルネサンス ここに始まる=】

 午後2時からは、日向市中央公民館にて記念シンポジウムを開催、多くの方が観覧されました。

 第1部は歌人で当館長の伊藤一彦先生が『牧水は今でも新しい』=牧水は未来の人=と題し講演されました。

 第2部はシンポジウム『歌人が語る牧水の新しい魅力』が行われました。伊藤先生がコーディネーター、パネリストとして歌人の乃上あつこさん(玲瓏所属)、久永草太さん(心の花所属)が登壇し、「食」「恋」「生き物」の牧水短歌をそれぞれが引き牧水短歌の新たな魅力に迫りました。

 

   
伊藤一彦先生   乃上あつこさん    久永草太さん            会場の様子

 

 シンポジウム終了後、会場を移し交流会を行いました。

 

9月17日(水) 第75回牧水祭

 牧水の命日9月17日、汗ばむ陽気の中、静岡県土肥町、群馬県みなかみ町、愛知県、東京都、延岡市の牧水顕彰団体ほか市内外から多数の参加をいただき、第75回牧水祭を開催しました。牧水祭は昭和26年から毎年開催し、郷土の歌人若山牧水の遺徳を偲んでいます。

 

【第1部 歌碑祭】
 牧水・喜志子夫婦歌碑前を会場に歌碑祭を行いました。
 初めに、地元の岩下富男さんが牧水短歌
  「ふるさとの尾鈴の山のかなしさよ秋もかすみのたなびきてをり」
  「日向の国むら立つ山のひと山に住む母恋し秋晴の日や」
を朗詠されました。
 次に巫女姿の東郷学園生が夫婦歌碑に献酒を行い、続いて主催者、若山家親族、来賓の方々が牧水の愛した酒を歌碑に注ぎました。

 

 
     東郷学園生による献酒               若山家親族による献酒

 

【第2部 牧水を偲ぶ会】

 会場を牧水公園ふるさとの家に移し、牧水を偲ぶ会を行いました。
 初めに、牧水の母校坪谷小学校6年生2名が短歌2首を朗詠。二人だけとは思えない朗詠が、100名以上の参加者で埋め尽くされた会場の端々まで響きました。牧水が明治29年に卒業し開校150年を迎えた坪谷小学校は、本年度末で閉校となります。

 

   
  牧水祭最後となる坪谷小学校児童の短歌朗詠

 

 続いて、朗読劇「若山牧水異聞 ひともしごろ」が上演されました。平成14年、当時の坪谷中学校文化祭で上演された創作劇をもとに、坪谷小学校6年生2名・先生方・劇団FLAGのほかのみなさんが出演、朗読を織り交ぜながら、繁が「牧水」という雅号を得るまでの旅立ちのときが展開されていきます。

 来場者のほとんどが初観覧とあって、冒頭から引き込まれていたように感じました。40分ほどの上演が終わると共に、会場からの感動の拍手はしばらく鳴り止みませんでした。

 

   朗読劇より

 

 朗読劇に続いて、伊藤一彦先生による講話『牧水とふるさと』~美々津・坪谷・同級生~が行われました。牧水幼少期に関する新資料の紹介、今年50年ぶりに先生編集にて発刊された『若山牧水全歌集』をもとに牧水短歌の新たな魅力について語られました。

 

 講話終了後、牧水の愛した田舎料理を囲んで懇談会を行いました。生誕140年で例年より参加者が多く、賑やかな会場でした。

 
         懇談会の様子               ステージから見守る140歳を迎えた若山牧水

 

今年も若山牧水を偲ぶ牧水祭を無事終えることができました。
参加されたみな様、協力くださったみな様に感謝申し上げます。
今年初めに若山牧水延岡顕彰会相談役の塩月眞さんが逝去され、毎年みなさんが待ち望む朗詠を聞くことが叶いません。ステージから微笑む牧水さんも、微かに愁いを帯びているようでした。