■プロフィール(2010年時)
昭和3年、東京都生まれ。
日本女子専門学校(現 昭和女子大学)国文科卒業。
在学中から短歌創作と能楽を始め、論作両面で戦後を代表する女流歌人となる。
「歌林の会」主宰。日本芸術院会員。朝日新聞選者。
迢空賞、読売文学賞、紫綬褒章、毎日芸術賞、斎藤茂吉短歌文学賞、朝日賞、
日本芸術院賞等を受賞。
若山牧水賞選考委員を第1回から第21回まで務めた。
著作は歌集・評論集ほか多数。
牧水自身、ある人への書簡の中で、自分は極彩色な美麗な歌をつくっていた時代から最近変化してきている。その変化してきている歌を、牧水は、最近淡泊になったという批評があるし、淡泊になっておもしろくなくなった、つまり極彩色な華麗さがなくなっておもしろくなくなったという者があるようだけれど、これはいかがなものであろう牧水には生来非常に強い韻律的な天分があったと私は思います。その韻律的なものに身を任せて歌う、その韻律こそ牧水の心の波ですね。大きい波、小さい波寄せ返す、まさに海の波の断えみたえずみする寄せ引く波の音のような心のうねりというものが牧水の歌の韻律になっていたのだと、そういうふうに思うわけなんです。
※講演「牧水の自然と愛」より