■プロフィール(2010年時)
昭和16年、愛媛県生まれ。
東京教育大学文学部国文科卒業。
同人誌「桟橋」編集人。「コスモス」選者。朝日歌壇選者。
第1回若山牧水賞、詩歌文学鑑賞、迢空賞、紫綬褒章を受章。
若山牧水賞選考委員を第16回から務める。
著作は歌集・エッセイほか多数。
牧水は、なぜ日本人にながく親しまれてきたのだろうか。よく言われるように、牧水の歌にはゆたかな愛誦性がある。覚えやすく口ずさみやすいのだ。
①分かりやすい ②内容が感傷的 ③快いリズムがある
私はこれが、愛誦性を生む三要素だと考えている。一般人が牧水の魅力を感じたり、いつのまにか覚えたりするのは、この三つが牧水の歌にたっぷり含まれているからだろう。
実はそれは短歌そのものに欠かせない最も大事な要素なのである。しかもこの三要素は現代短歌で忘れられがちになっている。私たちは、牧水の歌を思い出しながら<現代の歌>を作る必要があるだろう。
※講演「素朴な感情を歌う牧水」より